「パニック」とは〜専門用語としての意味

「パニック」という言葉は日常的によく聞きますよね。私たちの使う「パニック」は、みなさんが日常的に使う「パニック」とは少し異なります。

「パニック」はれっきとした精神神経学的な専門用語になります。精神科の世界で使用される「パニック」は、「不安」という意味合いを帯びます。もう少し突っ込むと、「交感神経の高ぶり」が正しいかと思います。

用語の使い分け

パニック発作(Panic attack)
不安発作と訳され、交感神経の暴走を言います

パニック障害(Panic disorder)
パニック発作を起こす病気の名前を指します

パニック発作(不安発作)って?〜交感神経の暴走

上に記したように、交感神経の暴走を言います。交感神経は自律神経の1つで(もう1つは副交感神経です)、意思によってコントロールができません。

交感神経は、興奮したときや緊急事態の際に優位になり、以下のような反応が起こります。

正常な交感神経の反応

この反応は本来自然なものですが、これが暴走すると、動悸、呼吸苦、胸部の苦悶感、過呼吸、多量の発汗、手の震え、めまい、吐き気などの好ましくない症状に変わります。

そしてこれが制御不能(out of control)になるため、本人は「このまま息が止まるのではないか」「心臓がどうにかなってしまうのではないか」「死んでしまうのではないか」という『死の恐怖』を体験すると言われます。

これがパニック発作(不安発作)です。

不安障害/パニック障害の原因は何?

脳の中の異常がありそうだ、すなわち身体の病気ではないか、という研究があり、これはこれで正しいです。

ただ、私たちがよく見るパニック障害は、ストレスに慢性的にさらされ、常に不安や緊張状態にある(要するに交感神経が優位になっていることが多い状態)人に多いと思います。

まとめ

元々の遺伝負因と慢性的なストレス状況が原因と言えます。

適応障害(ストレスに反応してうつ症状や不安症状を来すもの)でもパニック発作を起こすことがありす。だったら適応障害ではなくてパニック障害が正しい病名だ!と思いますよね?正直、どちらも正しいと思います。

そもそも、ストレスに対する反応に境界をつけて病名の仕分けをしたり、既存の病名に人間の反応を当てはめていくことに無理があるのです。

ですので、患者様におかれましては、あまり「病名」にはとらわれず、病態や症状に注目する方が良いでしょう。

不安障害、恐怖症、不安神経症について

上記の単語はおおむねイコールと考えて差し支えないでしょう(根っこは不安なので)。不安障害、恐怖症には色々な種類があります。ここでは有名なものをいくつか挙げます。

①広場恐怖症

広場が怖いのではありません。予期せぬ何かが起きたとき、すぐにその場所から避難できないような「状況」を怖がります。

例えば、電車/バス/飛行機、渋滞、トンネル、美容院、歯医者、映画館、雑踏、会議、朝礼などです。

②社会不安障害(=社交不安障害=SAD:Social Anxiety Disorder)

対人緊張の高い人のことを言います。人と話す時に上がったり、発表が苦手だったり、注目されるのが苦手だったりします。

ベースは「何か失敗するのではないか」「変な人に思われるのではないか」という自信のなさです。

赤面恐怖、対人恐怖、視線恐怖などもこれに含まれます。

③全般性不安障害

特定の状況や対象に対して不安を感じるのではなく、漠然と不安、心配が高まります。「自分が何か大きな病気になるのではないか」「家族が事故に遭うのではないか」などの不安が高まり、それが払拭できなくなります。

不安障害の中ではやや毛並みが異なり、しっかりとした治療が必要と考えます。

④高所恐怖、閉所恐怖、先端恐怖etc

これらは名前の通り、特定の物や状況が恐怖の対象となり、数えればキリがありません。これらはすべて不安がベースですので、それが高まればパニック発作が起こることもあります。

治療できるの?〜不安を乗りこなす

できます。

できますが、まず、「不安を消そう」「不安をなくそう」と考えるのはやめましょう。

不安は私たち人間が生きていく上で必要な感情だからです。

不安になるのは構いません。不安になりすぎるのが良くないのです。不安になることに不安になるのはやめましょう。

治療は「不安を乗りこなすこと」です。

当院の治療方針

治療には一般的に安定剤(抗不安薬)やSSRIまたはSNRIという抗うつ薬を使用します。

不安障害にはお薬がよく効くため、当院ではお薬の治療をベースにおすすめしています。

もちろん、漢方薬も使用できますし、精神療法的なアプローチも可能です。

原因・メカニズム

脳内の不安を調整する神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスが崩れることで、過剰な不安反応が起こります。遺伝的要因やストレスも関与します。

放置するリスク

当院の診断アプローチ

発作の症状、頻度、きっかけ、回避行動の有無などを詳しく伺います。心臓病など身体疾患との鑑別も行い、総合的に診断します。